家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして、会場にどよめきが走った。

王族の方々が、ゆったりとした足取りで入場してきたのだ。

その威厳に満ちた雰囲気に、会場の空気が一瞬にして引き締まる。

その中には、ルシアとかつて婚約していたアルバート王子の姿も。そしてさきほど一悶着あった、セレンシア王女の姿も見える。

王族たちは丁寧に、貴族たち一人一人へと声をかけながら、にこやかに歩みを進めていた。

「僕たちのところに来るまでに、王族の方々は疲れてしまうね。」

セドリックが笑いながら、私の元へ戻ってきた。

「大丈夫よ。伯爵相手に、そんなに長く話すなんてことはないでしょう。」

私は小さく微笑んだ。

でも本当は、アルバート王子とルシアがどんな顔で顔を合わせるのか、そればかりが気になっていた。

どうか、これ以上の恥が重なりませんように――

私はそう祈るような気持ちで、ルシアの方を見つめていた。
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