家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして、ニコラス皇太子殿下が私たちの前においでになった。

その優雅な足取りに、周囲の貴族たちが一斉に道を開ける。

「国王への進言、感謝しております。」

セドリックが深々と頭を下げると、皇太子殿下はすぐに首を横に振られた。

「礼など不要です。私は当然のことをしたまで。――この国は、あまりにも“名”ばかりを重んじすぎました。血筋よりも、今何を成したか。功績こそが、貴族としての本質ではないでしょうか。」

凛とした声音と、まっすぐな瞳。

その言葉は、胸の奥に強く響いた。

「私は、そんな価値観を広めたいのです。」

セドリックが静かにうなずいた。

「その志に、深く賛同いたします。」

私はそんな二人の姿を見つめながら、心の底から思った――

この国の未来は、きっと明るい、と。
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