家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
次においでになったのは、アルバート王子殿下とセレンシア王女だった。

私の胸はどこか緊張し、自然と姿勢を正す。

そして王女の麗しいお顔を見た瞬間、思わず頭を下げていた。

「さきほどは、妹が大変失礼なことをいたしました。心よりお詫び申し上げます。」

王女は小さく息をつき、けれど優雅に微笑んでくださった。

「まあ、レオンの奥様は――あの有名なグレイバーン伯爵夫人をお姉様に持っていらしたのね。」

その言葉に、頬が熱くなった。

“有名”という響きが、なぜか少しだけ、くすぐったくて。

「あなたに免じて、ルシアを許してあげましょう。」

そう穏やかにおっしゃったセレンシア王女に、私は深く頭を下げた。

「ありがとうございます。本当に感謝いたします。」

王子殿下もその様子を温かく見守っておられ、ようやく晩餐会の空気が落ち着いたように思えた。
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