家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして王族の皆様は、次にカザリス伯爵夫妻――ルシアとレオンの元へと向かわれた。

国王も王妃も、にこやかに微笑みながら、しかし一言だけ。

「いつも見ているよ。」

それだけ言うと、あとは深く関わらず、レオンの前を静かに通り過ぎていった。

続いて現れたのは、皇太子ニコラス殿下。
彼も同じように、

「ご努力、拝見しております。」

とだけ言って、立ち止まらずに進んでいった。

やがて、アルバート王子の番となる。

「この度は、お顔を拝見し光栄です。」

ルシアとレオンは同時に挨拶をした。

そのとき、アルバート王子はふとルシアを一瞥し、ぽつりとつぶやいた。

「もったいないな。」

その言葉の真意はわからない。だが、たったそれだけでルシアはぱっと顔を明るくし、目を輝かせた。

「やっぱり私、王子様にふさわしかったのね……」

そんな風に、彼女は都合よく解釈してしまうのだった。
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