家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ははは。逆だよ、ルシア。」

アルバート王子の軽やかな笑みに、ルシアはぽかんとしたまま固まった。

「カザリス伯爵。」

呼ばれたレオンが静かに一歩前へ出る。

「はい。」

「君は――夫人選びに失敗したね。僕は成功したけれど。」

その言葉に、ルシアの顔から血の気が引いた。

「夫人を見れば、夫がどんな人間かがわかる。君は、もっと自分を立ててくれるような、聡明な夫人を選ぶべきだったね。」

アルバート王子はまるで事実を語るように、さらりとそう言った。

その場が凍りつく。

「……っ」

ルシアは顔を真っ赤にし、唇をわなわなと震わせていた。

自分が選ばれなかったことを、まざまざと思い知らされる一言だった。

「王子、それは……」

レオンが何か言おうとしたが、アルバート王子は手を軽く上げて止めた。
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