家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「気にするな。ただ、君の将来が心配なだけさ。」

そう言い残して、王子は優雅に去っていった。

その瞬間、ルシアの感情は限界を迎えようとしていた。

顔を真っ赤にし、今にも爆発しそうな気配が漂っていた。

そして次に現れたセレンシア王女は、まっすぐにレオンへ歩み寄り、にこやかに挨拶を交わした。

その間、ルシアには一瞥もくれず、まるで存在しないかのように通り過ぎた。

その瞬間、ルシアの中で何かが切れた。

「レオン!」彼女は怒りを全身にまといながら、レオンに詰め寄った。「どうして私をかばってくれないのよ!」

レオンは静かに、しかし冷たく言葉を返す。

「ルシア、君はあまりにも後先を考えずに行動する。王女を愛人呼ばわりするなど、軽率すぎる。」

「それでも!あなたは、自分の妻は聡明で美しいと、堂々と主張すべきじゃないの!?」

叫ぶような声に、場の空気が張り詰める。

レオンは長く深いため息をついた。
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