家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「結婚式は一週間後にしよう。」

突然の言葉に、私は思わず息をのんだ。

「一週間後……せめて、十日ほど頂けませんか?」

「どうして?」

戸惑いながらも、私は必死に言葉を探した。

「ウェディングドレスを……作るからです。」

刺繍一つとっても、時間がかかる。最後くらい、自分のための一着を纏いたかった。

彼は少しだけ間を置いて、うなずいた。

「承知した。十日後にしよう。」

ほっと息をついたのも束の間、彼は淡々と続けた。

「それ以上は待てない。」

その瞳には、譲ることのない意志が宿っていた。

私は小さく頭を下げた。

たとえ期限つきでも、彼が応じてくれたことが、少しだけ嬉しかった。
< 27 / 300 >

この作品をシェア

pagetop