家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
ある日、私の母がグレイバーン侯爵家を訪れた。

「クラリス、おめでとう。」

玄関先で笑顔を見せた母は、子供ができたと知って、いてもたってもいられずに来てくれたのだという。

どうやら、父の反対を押し切って一人で来たらしい。

「はい、ありがとうございます。」

私は驚きながらも、嬉しくて母の手を握った。

「早いけれど……」

そう言って、母は小さな包みを差し出した。

「これは?」

そっと開けると、そこには淡いクリーム色の、手編みの小さな靴下が入っていた。

「まあ……赤ちゃんの?」

「そうなの!手紙で知った時から、夜なべして編んだのよ。」

母の瞳が潤んでいるのを見て、私の胸も熱くなった。

遠く離れていても、母の愛情は変わらず、私を包んでくれる。

「ありがとう、お母様。」

私はそっと靴下を胸に抱きしめた。

小さな命のために――母から私へ、そして私から子へと続く、温かな想い。
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