家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
助産婦さんが屋敷に到着し、部屋の中は一気に緊張感に包まれた。

「ううーっ!」

私は陣痛の波に耐えながら、ベッドの縁を強く握る。

「はい、今は休みましょう。深呼吸して。」

助産婦さんが落ち着いた声でタイミングを教えてくれる。

「次、来ますよ。はい!息んで!」

「うううーーっ!」

痛みに全身が引き裂かれるようだった。

それでも私はお腹の子のため、懸命に力を込める。

「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」

「もう少しです!頭が見えましたよ!」

助産婦さんの声に励まされながら、私はまた息んだ。

何度そうしたか分からない。そして——

「おぎゃあーーー!」

泣き声が響いた瞬間、私の目からは涙があふれていた。

この小さな命が、私とセドリックの子ども。

腕に抱かれたその温もりが、すべての痛みを忘れさせてくれた。




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