家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「そう。それはよかったわ。あの子は真面目なところがあってね。女にも真面目なのよ。」

そう言って、どこか懐かしむような目をした。

「……何て言ったかしら、あの幼馴染みの……」

「キャリーですか?」

私がそっと名前を出すと、お母様は「ああ、そうそう」と頷いた。

「キャリーにもね、手を出さなかったのよ。どんなに親しくしていてもね。そういうところ、あの子は律儀なの。」

私は胸の奥がほんのり温かくなるのを感じた。

――真面目で、誠実。セドリックのそんな一面を、私はもっと知りたくなった。

そして彼を選んだことが、少しずつ誇らしく思えてくるのだった。

「でも、あの子……初めてで戸惑わなかった?」

お母様が茶目っ気たっぷりに尋ねてきた。
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