家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「そうだ。この前、敷地の整備をして空いている土地がある。クラリス様の好きな花を植えよう。」

ロルフが少し照れくさそうに言った。

「ありがとう、ロルフ。楽しみにしているわ。」

自分のために何かをしてくれる――それがこんなにも嬉しいものなのだと、私は改めて実感した。

そこからまたしばらく歩いていくと、ふと人の声が聞こえてきた。

声のする方へ目を向けると、数人の使用人たちがバルコニーに集まって、お茶を楽しんでいる様子だった。

敷地のほぼ真ん中にあるその場所は、日当たりも良く、風通しのいい気持ちのよい空間。

だが、驚いたのはそこが使用人たちに使われていることだった。

「バルコニーって……使用人が使っていいの?」

私は思わずマリーナに尋ねた。

「ええ。旦那様が、”いい空間は皆で分け合おう”とおっしゃって、使用人の休憩所として開放されたのです。」

セドリックの優しさと、公正な人柄をまた一つ知ることになった。
< 77 / 300 >

この作品をシェア

pagetop