家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして、侍女の一人が私に気づいた。

「クラリス様……!」

彼女の声に反応して、他の侍女たちも一斉にこちらを振り向いた。

そして、まるでいたずらを見つかった子どもたちのように、慌ててお茶会の茶器を片付け始めた。

「まあまあ、いいのよ。そのままで。」

私はにっこりと微笑んで言い、バルコニーの椅子に腰を下ろした。

「いつもここでお茶会をしているの?」

私の問いかけに、少し戸惑いながらも一人の侍女が答えた。

「はい。伯爵夫人……いえ、前の伯爵夫人が、“ここは良い場所だから、皆で使いなさい”と仰せられて。」

確かに、お母様ならそう言いそうだ。あの方は本当に、心の広い人だから。

「それなら、私も参加してもいいかしら?」

私がそう言うと、侍女たちの顔が一気に明るくなった。

「はい!ぜひぜひ!」

「お茶、淹れ直しますね!」

「お菓子もまだありますから!」

たちまちその場は、嬉しそうな声でにぎやかになった。

どこか緊張していた私の心が、ふっとほどけていくようだった。
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