家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「私はこの家の事を何も知らずに嫁いだのね。」

それがなぜか、悔しかった。

「そんなものですよ。」

侍女の一人がふっと笑った。

「お嬢様の時もそうでしたから。」

「……そう。」

「公爵家に嫁いだのですが、何も情報は知らされませんでした。ご立派な家柄でしたけれど……」

他の侍女が小さな声で続けた。

「あとで分かったのですが、お嬢様……かなり虐められていたようで。」

「誰に?」

私は息を呑んだ。

「お母上様や、侍女たちにです。」

そんな話をセドリックから一度も聞いたことがない。

「とても辛い日々だったと……でも決して弱音は吐かれませんでした。」

「どうして?」

「お嬢様は……プライドの高い方でしたから。ご自身が弱いところを見せるのを嫌がって。」

私は胸の奥が苦しくなった。

セドリックの姉は、誇り高く、そして誰にも頼れないまま命を落としたのかもしれない。
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