家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックは真剣な眼差しでそう言った。

「分かっているわ。」

私は静かに頷いた。

お母様もそのプレッシャーにずっと耐えてきた。

実際、私と妹しか生まれず、男子は与えられなかったけれど、

それでも母は一度も弱音を吐かなかった。

けれど、セドリックは違った。

「でも……無理に子供を産まなくてもいいと思っている。」

その言葉に、私は思わず彼の顔を見つめた。

その瞳には、深い悲しみがにじんでいた。

「……お姉様が出産で亡くなったからね。」

そうだった。

私は、彼の姉が命をかけて子を産んだことを、侍女たちから聞いていた。

母になれた喜びの前に、彼女は命を落とした――

「彼女は、子供が欲しいと願っていた。僕たち皆が喜んでいた。だけど……」

そこまで言うと、セドリックは言葉を詰まらせた。

「怖いのね。」
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