家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
私は静かに問いかけた。

「……ああ。君を失うくらいなら、子供はいらないとさえ思ってる。」

その想いに、私は胸が熱くなった。

愛されている――そう実感した瞬間だった。

「私は死なないわ。」

その言葉に決意を込めて、私はセドリックをぎゅっと抱きしめた。

「私は子供を産んでも、あなたの側にいるわ。あなたをひとりになんてしない。」

一瞬、彼の腕がわずかに震えた気がした。

それから、強く、深く私を抱き返してくれる。

「連日、君を抱いているのに……」

彼の声が、低く、熱を帯びていた。

「まだ足りないんだ。」

私は彼の顔を見上げる。

セドリックの瞳は、私だけを真っすぐに見つめていた。

「君が足りないんだ。もっと欲しくてたまらないんだ。」







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