家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その言葉が、体の奥まで染み渡っていく。

私は照れ笑いを浮かべた。

「このままだと……子供ができるのも、早いかもしれないわね。」

「それも悪くない。」

彼は微笑んで、もう一度私をそっと抱きしめた。

この腕の中なら、私は何度でも未来を信じられる。

私はセドリックの腕の中で、そっと目を閉じた。

彼は、毎晩のように私を求めてくれる。

「君が足りない」と言ってくれるその言葉に、私は何度も救われていた。

――でも、私は思った。

妻として、母として、それだけでいいのだろうか。

この屋敷に来て、たくさんの書物を読み、使用人たちや街の人々の話を聞くうちに、知ってしまった。

この街には、食べるものにも困る子供たちがいるということを。
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