扇情的ナミダ
Kiss
あれから俺たちは付き合う様になったものの。
一緒に歩いていても、留惟は警戒するように俺と距離をとる。
休み時間に教室へ向かった俺から逃げるように避け、やっと捕まえたかと思えば、緊張の伝わるほど身構えて。
引きつった笑顔。
それを見て、どこか満足してしまう自分がいる。
このままでは駄目だ。
普通のカップルと違う。
「はぁ。」
ため息を吐いただけなのに。
「ひゃぁ!?」
挙動不審の大げさな反応で、身構える始末。
いくら怯える姿も見ていて楽しいからと言って、これは腹が立つなぁ。
ふと留惟に目を向けると、逃げた位置にある木から小さな葉が落ちてきて、彼女の頭の頭に乗っかった。
「留惟、頭に葉っぱが乗っているのを取るだけだからな。」