扇情的ナミダ
彼女に触れるのも、こんなに気を遣わなければならないとは。
近づいて手を伸ばし、小さな葉っぱを払う。
「っ!」
どうやら彼女の耳に触れてしまったようだ。
しかし、この過剰な反応は。
留惟は視線を逸らして、しまったと言う顔。
ゾクゾクとするような感覚。
そうだね。不味いよ、その反応は。
「留惟?」
「……何でしょう?」
さっき触った耳とは反対側の頬に手を当て、俺はニッコリ笑顔。
それに対して彼女は、ぎこちない笑顔を返す。
徐々に俺から視線を外し、髪の毛先を弄りながら微妙な鼻歌。
何を誤魔化そうとしているのか分からないけど、こんな姿も可愛いね。
「耳、弱いんだ。」
図星だったのだろう。
動きが止まって。
「そんなことはないですよ。」