扇情的ナミダ
小さな声で目線も合わせず、変な言葉遣い。
加減ができなくなりそうだ。
「なら、触れても良いよね?」
俺は口元が緩んで、彼女の髪を流しながら耳に触れ、反応を楽しむ。
彼女は必死で我慢しようと手で口を押え、少し逃げ腰。
それでも、怯えているわけじゃない。
俺に触れられるのが嫌でもない感じ。受け入れられた気がする。
耳裏に中指を添えて、親指で撫でながら顔を近づけていく。
彼女は目をギュッと閉じ、覚悟を決めたように俺を待つ。
その様子が愛しくて、ずっと観察を続けた。
少しの時間で、どんどん表情が変化していくのを。
俺の気配に敏感なのか、すぐに緊張が伝わった。
そして、観察する俺の動きがない事に疑問を持ったのか眉間にシワ。