嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
(だけど、オーフェンにそっくりの人と結婚だなんて、呪われているとしか思えない不運だわ)

 転生して報われるどころか悩まされるなんて。

「とにかく、結婚式の日取りも決まってるし、今さらなしにするのは難しいな」
「えっ、もう日取りまで?」
「そうだ、もう二ヶ月を切ってる」
「初耳です!」
「今の君にはな」

 この数週間で薄々感じていたが、母はどうものんびりとした性格で、うっかり屋でもあるようだ。
 知っておくべき重要な情報が共有されていないのは痛い。

 美七はがくりと項垂れ、両手で顔を覆う。

(ああ! せめて婚約が決まる前に前世の記憶が覚醒していたら回避できたのに)

 いよいよ手詰まりとなりため息を零す。

「美七、俺は君以外との結婚は考えていない。悪いが覚悟を決めてくれ」

 紘生の淡々とした声が無情さに拍車をかける。

(……覚悟なんて、そんな簡単に決まらないわ)

 だが、両親を困らせ傷つける覚悟もない。

 唇を噛みしめ、黙り込む。
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