嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
 回避できないのなら受け入れるほかない。
 けれど、始まったばかりの人生を、自由を、幸せを、諦めたくはない。

(──似ているけれど、転生したオーフェンだという確証はない)

 もし彼じゃないなら、この結婚を受け入れても、自分らしく人生を楽しむことは可能なのかもしれない。
 それが叶わないようであれば、その時は別れればいい。
 彼に愛されていない分、必要以上に気を張る必要もないだろう。

 美七は、一度深く息を吐いてから背筋を伸ばし紘生を見つめた。

「わかりました。予定通り結婚します。ただし結婚後、無理だと感じたら離婚させてください」

 結婚は回避できなくても、性格の不一致などでの円満離婚なら、両親も仕方ないと思ってくれるだろう。

 紘生は、最後の悪あがきともいえる美七の提案に、今度は拒否せずゆっくりと首を縦に振った。

「その方が俺にとっても効率がよさそうなら譲歩しよう」

(出た、効率魔)

 恋愛感情がなく効率重視で自分本位。

 この分ならスピード離婚になっても皆納得してくれそうだ。

 消えかけていた理想の未来がうっすらと見え始めた美七は、ひとまず気持ちを切り替え結納式に挑んだ。

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