嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
二章 興味を抱いて
 紘生が用意した新居は、都内の一等地にかまえる七階建てデザイナーズマンションの最上階だ。

 一階は広いLDKと書斎、ルーフバルコニー。
 二階は寝室が二部屋と、ゲストルームにバスルームというメゾネットタイプになっている。

 結婚式の一週間前に引っ越し作業を行い、式の翌日から住めるように準備していた甲斐あって、挙式後の新婚生活はスムーズに始まったのだが。

「なんとも形容しがたい味ね……」

 アイランドキッチンで夕食の準備をする美七は、料理の出来にがくりと肩を落とした。

 紘生の妻になって三日目。

 彼の仕事の都合で新婚旅行もなく、連日家事に勤しむ美七は、今日こそはと気合を入れて調理に挑んだ。

 だが、残念なことに連敗記録を更新。
 連日、母に教わり続けたにもかかわらず、だ。

(料理は感覚だというお母さんの教えに倣ってやってるのに)

 なぜ母はあれほどうまくできるのだろう。
 経験数か、それともセンスか。

(まさか転生による弊害?)

 奇跡の代償が料理センスなら納得だが、夫の食生活をサポートできないのは妻として問題だ。

「また失敗か?」

 オブラートに包まない物言いに視線を上げると、帰宅したばかりの紘生がネクタイを緩めながらキッチンにやってくる。
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