嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
「ごめんなさい。また変な味になっちゃって」
「別に栄養はこれで摂取すれば問題ない。食事時間も短縮できるしな」

 そう言って冷蔵庫から取り出したのは、栄養補助ゼリーだ。
 美七は呆れて目を細める。

「その効率重視思考、どうにかした方がいいですよ。栄養はきちんとした食事からとるべきです」
「つまり、その失敗作を食えと?」

 片眉を上げて首を傾げる紘生に、美七は「う」と言葉を詰まらせた。

「こ、これは私が食べます。変な味だけど食べられないことはないし」
「なるほど。今朝、明らかに作った形跡があるのに、それが消えて出来合いのものが並んでいたのは、捨てたのではなく美七の腹に入っていたわけか」
「もったいないので」

 食べ物を粗末にするべからず。
 美七はフライパンにのせたままの炒め物を、繊細な色合いの和食器に移した。

 次は紘生の夕食を用意しようと冷蔵庫を開けようとしたのだが、一拍早く彼の手が扉に添えられる。

「では、今日は俺も食べよう」
「えっ!? いえ、紘生さんは念のために買ってあるお総菜を食べて……あ、ちょっと!」

 話している隙に、紘生は箸を手にして炒め物を味見した。
 美味しくないとわかっているものをしゃくしゃくと咀嚼する音が、見守るしかない美七の緊張感を高めていく。
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