嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
(昔の私はどうしてOKしたのかしら)

 前世では、王女や貴族令嬢の婚姻は、本人の意思ではなく家の都合で決められることが多かった。
 いわゆる政略結婚で、意にそぐわない相手でも尽くさなければならない。

 ミレーナもそうだった。
 幼少期にオーフェンとの婚姻が決まり、王太子妃にふさわしい教養を身につけるよう、朝から晩まで厳しい妃教育に明け暮れた。

(でも、裏切られた)

 怪我をした男性を見つけ手当てをした。

 しかしその者が敵国の要人だったため、内通を疑われたのだ。

 牢に入れられたミレーナにオーフェンは『僕が誤解を解き、必ず君を助ける』と約束してくれた。

 その言葉を信じて待っていたが、いつの間にか婚約は破棄され、別の令嬢と結婚したのを、不幸を面白がってにやける看守の口から知らされた。

(元々隠れて色んな女性と関係を持っていたのは知っていた。でも、長年殿下のためにと尽くしてきた婚約者を簡単に切り捨てるようなクズだとは思わないじゃない)

 いや、そんな男を信じた自分も甘かったのだ。
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