一番星は君ひとりだけ
片付けも終わり、夕陽も沈んできて、お風呂や夕飯はどうしようか…となってきた。
「お風呂は?夕飯は?どうしよっか」
あっ…自分の意見言うの苦手なんだっけ。
「才菜、先にお風呂入りな。疲れたでしょ?ゆっくり温まってきなよ。お風呂沸かしてくるね」
さりげなく呼び捨てに。
お風呂を洗って、沸かしてリビングに戻ってくると、才菜は立ちすくんでいた。
「どしたの、ソファとか座ればいいのに」
「誰かの家、あまりお邪魔したことないから…どうするのが正解か分からなくて」
「誰かの家じゃないよ、才菜の家だよここは」
「うん…」
やっと才菜は、ソファの端に脚を閉じて緊張気味に座る。隣に座ると、ガチガチに緊張してるのが伝わってくる。
「ねえ、どこまでなら許してくれる?」
肩に頭を乗せて、聞いてみる。
「頭撫でる、手を繋ぐ、ハグ、腕枕、膝枕、添い寝、それから…キス、一緒にお風呂、それ以上のこと」
「頭撫でてきたし、ハグもしてきた」
「それはごめん!」
「…付き合ってもないのに、どれもやるのおかしいよ。ただのファン食い、体目的じゃん」
「っ…そんなことない!」
ただ愛情表現したいだけなのに。
「お風呂沸いたから入ってくる」
「あ、タオル好きなの使っていいからね」
「うん、ありがとう」
ぬるっとかわされた気がするけど…少しずつ、俺の存在に慣れてきたようだ。