一番星は君ひとりだけ

「はーあ!よく寝た!」


翌朝、ライブの翌日は良く眠れるためかいい目覚めだった。
何かいいことが起こりそうな、そんな感じ。

半年前に引っ越してきた、独りで住むにはだいぶ広い部屋。テレビによく出るようになり、ライブもファンでドームを埋め尽くせるようになって、見栄を張ったはいいものの、寂しいものだ。

朝のルーティンをこなして、出かける準備。

シャイニングショップに電車で向かう。
平日というのに人混みのある繁華街の中にある。
事務所の本社がある街でもあるため、よくSNSに目撃情報が書かれるけど、今日は書かれない自信がある。
バッチリ変装したもん!


「ここか…!」


目的地に辿り着く。
お店に入ると、スタッフの方に


「ご予約のシリアルコード見せてください」


と言われる。

…ん?何それ?


「え?」

「いや、完全予約制でして…」

「ああ…そういうことですか…」


俺の中で少し悪巧みがよぎった。
深めに被っていたキャップを少し上げて、ウインクして微笑んでみる。

スタッフの方は、明星飛貴ということに気付いたらしく、顔を急に赤らめた。


「ど、どうぞっ…!」


顔パスいけたぁ…!悪巧み成功しちゃったぁ…!
これ今度テレビのネタで話そぉー!


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