一番星は君ひとりだけ
「名前聞いてもいい?」
そう聞いたところで、彼女はフラっとこちらに倒れてしまった。
「えっ!大丈夫?ちょっ…!」
この子のことは心配だけど、騒ぐわけにもいかない。
マネージャー…呼ぶか、仕方ない。
マネージャーに電話をかける。事務所にいたらしく、すぐに車を出して来てくれた。
「何してんの、こんな所で…」
「いや…一目惚れしちゃって…」
「熱愛出したらやばいだろ?今人気絶頂なのに」
「そこはなんとかするから!てかまだ名前も知らないし。とりあえず俺の家まで、連れて行って休ませる」
「せめて事務所とかにしとけよ」
「先輩や後輩の目もある。リークされたらめんどくさいよ…」
「それもそうか」
彼女をおんぶして車に乗せて、俺の家まで連れて行く。
ああ、何やってんだろ。アイドルなのに。恋なんかしちゃってさ。
家に着いて、彼女をベッドに寝かせる。
寝顔も可愛らしい。俺だけに見せてよ。
でもそうか、まだ彼氏がいるとかいないとか聞いてないのか。はあそうか。
「あとはいいか?」
「うん、ありがとう。あとは俺が何とかする」
「記者とかはいなさそうだな。そのへんは、このマンション、セキュリティしっかりしてるし」
「うん」
「じゃあな」
「また仕事の時に!お疲れ様です!」