一番星は君ひとりだけ
「家は?タクシー出す?それとも、うちのマネージャーに車出してもらう?」
矢継ぎ早に聞いたからか、彼女は戸惑ったような顔を見せた。
それにしても口数少ない子だなぁ。
緊張してるだけかな。
「今日は俺、休みだからさ。いいよ、心配だから送るよ」
一緒にいたい。あわよくば付き合いたい。
そんな下心。
「家、というか…グループホームって所に住んでます」
「グループホーム?」
「シェアハウスみたいな、感じです」
「門限あるんじゃないの?そういう所って」
「…まあ。あるようなないような」
「じゃあ、行こっか」
シェアハウスって言うと、もっとワイワイした感じの子が住むイメージだけど…。
最近はそうでもないのかな?
俺はまた変装スタイルになり、才菜ちゃんの家、グループホームに向かうことにする。タクシーをマンションから少し離れた所に呼び、乗り込む。
タクシー内では才菜ちゃんはやはり静かだった。
運転手からのリークも怖いから、下手に話すこともできないけど。
グループホームの近くに着いて、少し歩く。
俺の横には歩いてくれない。少し離れて、前を歩く。
なんだか寂しいな。送って行ったら、もう会えないのだろうか。