一番星は君ひとりだけ
「才菜おかえりやん。…え、お兄さん誰…え、飛貴くん?!」
急に現れる、金髪の女性。赤い服を着て、ギャルっぽい感じ。…俺そんなに変装下手かな。
「似てるってよく言われます」
と、ニコッとしておく。
「いやいや本人やん!声も顔もまんまやん!才菜と一緒でファンだから分かるわ!」
なんて言いながら、肩甲骨あたりをばしんと叩かれる。…うん、推しへの扱い酷くない?
才菜ちゃんはなんとも言えなさそうな顔でこちらを何となく見ていた。
「まあいいや、うち風呂浴びてくるー!」
「行ってらっしゃい」
大家さんが彼女を見送る。
「ごめんねー、あの子テンション高い時期みたいで」
「あー、いえいえ」
…言うか言わないか。どうしよう。
才菜ちゃんと出逢ってしまって、あの広い部屋に独りで帰りたくない。
「連れて帰ってもいいですか」
「え?」
「才菜ちゃんのこと、俺が守りたいです」
気付いたら口走っていた。才菜ちゃんは、おそらく初めて、まともに俺と目を合わせた。
「…守りたいって、どういう意味で?」
「…そのままの意味、ですね」
「才菜の病気のことと発達障害のこと、聞いてるの?それでも守りたいってこと?」
「…え?」