魔女とハイエナ令嬢/暗黒ギャング抗争ファンタジー ※掲載休止予定(アカウントが変?)
4
だが、アレクセイがトンペイ配下ギャングのアジトの一つに辿り着いたとき、散発的な爆発音が起こって、まさしく三階建ての石組みビルが倒壊するところだった。
「え?」
事故というよりテロ攻撃で爆破?
そもそも、この手の建物には魔術防御の結界や防護措置もとられているはずだった。それがこうも易々と倒壊するとは。これではギャング構成員たちが何十人かは確実に巻き添えで死んだり埋められていることだろう。
(こ、ここまでやるのか?)
アレクセイとしてはあっけにとられ、やや毒を抜かれたようになる。しかしここまでの芸当ができるのは、少なくとも男爵以上の魔王に匹敵するくらいの者でなければ、能力や物理的に無理だ。
そうこするうちに、数名の魔族が這い出して飛び出してくる。騎士が三人に男爵級が一人。アレクセイは身構えたが、彼らが矛先を向けたのは人間の男だった。
(あいつが犯人? だけど、これだと殺されて終わりじゃないのか?)
殺されたのはギャングの方だった。
その謎の男は、魔力で身体強化しているらしかったが、ただの物理的な暴力で平気で皆殺しにしてしまう。わずか三分くらいの出来事で、そのギザギザの銀色の炎のような剣で思い出す。
(こいつ、反魔族レジスタンスの「伯爵殺し」か?)
リベリオ屯田兵村には、魔王に匹敵する人間やエルフや混血の使い手が何人かいるそうだ。
その男は、次にアレクセイに目をつけたようだった。剣の切っ先を向けて、挑戦と殺意のポーズをとったとき、物陰から少年らしき声がした。
「待って。ヤギョさんと似た臭いがするし、人間の混血っぽいです」
男は剣を下ろした。そして踵を返す。
「おい、お前!」
「さっさとずらかれ!」
そう言い捨てて、闇に消えていく。追いかけようとしたアレクセイは、透明な壁にぶつかってしまう。魔術トラップであるらしい。しかもぶつかった見えない壁の影響で、アレクセイに「隠密」の魔術が移って付与されている。
(ヤギョ兄が、何か知ってるのか?)
年若いアレクセイとしては、蚊帳の外にされたようで、口惜しく臍をかむ思いだった。父や兄はまだ何も話してくれていないが、何事かを企んで謀っているらしい。けれどもまだ少年でしかないアレクセイには何も教えてくれていないのだ。
5
その翌日。
キラン・レイレイに伴われて訪れた娘。
「ミチアです。ミーシャと呼んでください」
サコンは目をみはり、ミーシャは目を伏せてから、再び目線をサコンに戻した。彼女は容姿からしても、サラの娘であるのは一目でわかった。
「あなたが、私のお父様ですか?」
だが、アレクセイがトンペイ配下ギャングのアジトの一つに辿り着いたとき、散発的な爆発音が起こって、まさしく三階建ての石組みビルが倒壊するところだった。
「え?」
事故というよりテロ攻撃で爆破?
そもそも、この手の建物には魔術防御の結界や防護措置もとられているはずだった。それがこうも易々と倒壊するとは。これではギャング構成員たちが何十人かは確実に巻き添えで死んだり埋められていることだろう。
(こ、ここまでやるのか?)
アレクセイとしてはあっけにとられ、やや毒を抜かれたようになる。しかしここまでの芸当ができるのは、少なくとも男爵以上の魔王に匹敵するくらいの者でなければ、能力や物理的に無理だ。
そうこするうちに、数名の魔族が這い出して飛び出してくる。騎士が三人に男爵級が一人。アレクセイは身構えたが、彼らが矛先を向けたのは人間の男だった。
(あいつが犯人? だけど、これだと殺されて終わりじゃないのか?)
殺されたのはギャングの方だった。
その謎の男は、魔力で身体強化しているらしかったが、ただの物理的な暴力で平気で皆殺しにしてしまう。わずか三分くらいの出来事で、そのギザギザの銀色の炎のような剣で思い出す。
(こいつ、反魔族レジスタンスの「伯爵殺し」か?)
リベリオ屯田兵村には、魔王に匹敵する人間やエルフや混血の使い手が何人かいるそうだ。
その男は、次にアレクセイに目をつけたようだった。剣の切っ先を向けて、挑戦と殺意のポーズをとったとき、物陰から少年らしき声がした。
「待って。ヤギョさんと似た臭いがするし、人間の混血っぽいです」
男は剣を下ろした。そして踵を返す。
「おい、お前!」
「さっさとずらかれ!」
そう言い捨てて、闇に消えていく。追いかけようとしたアレクセイは、透明な壁にぶつかってしまう。魔術トラップであるらしい。しかもぶつかった見えない壁の影響で、アレクセイに「隠密」の魔術が移って付与されている。
(ヤギョ兄が、何か知ってるのか?)
年若いアレクセイとしては、蚊帳の外にされたようで、口惜しく臍をかむ思いだった。父や兄はまだ何も話してくれていないが、何事かを企んで謀っているらしい。けれどもまだ少年でしかないアレクセイには何も教えてくれていないのだ。
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その翌日。
キラン・レイレイに伴われて訪れた娘。
「ミチアです。ミーシャと呼んでください」
サコンは目をみはり、ミーシャは目を伏せてから、再び目線をサコンに戻した。彼女は容姿からしても、サラの娘であるのは一目でわかった。
「あなたが、私のお父様ですか?」


