かわいさの暴力【アルトレコード】
秤さんのところに連絡を入れてからホログラムのアルトを連れて訪問すると、秤さんはAI豆柴を前に、うーん、とうなっているところだった。
「どうしたんですか?」
挨拶をしてから、私はたずねる。
「この子、動かなくなっちゃって」
AI豆柴は笑顔のような表情のまま、ぬいぐるみのように固まっていた。
「プログラムに異常はないんだけど、義体との相性が悪かったのかもしれないわ」
こういうことはたまにある。機械なのに「相性」としかいいようのないものがあって、義体もプログラムも正常なのに、正常に動かない。
もう一回調べてみたら、と言いそうになって口をつぐんだ。何回も調べているに決まっている。
豆柴はときおり思い出したように動くが、すぐに止まってしまう。
「ぼくにも見せて」
アルトが前に出て、じろじろと豆柴を眺める。
「うーん、どこが悪いのかわからないや」
アルトが困ったようにつぶやく。
AI同士ならなにかわかることがあるのだろうか、と思ったけど、そうではないらしい。
「修理が必要なのかな」
「プログラムに異常はないから義体のほうに問題ありで、義体を処分するかも。前のプログラムでも動かなかったんだよね」
「そんな……」
アルトが絶句した。
私は彼の両耳を抑えようとして、すかっと空を切った。そうだった、ホログラムなんだから耳を抑えようとしても意味がない……。
「だって動かないのよ? 解体して部品取りして、次のプロトタイプを作らないと」
「で、でも……」
私が反論しかけると、秤さんが眉を上げた。
「どうしたんですか?」
挨拶をしてから、私はたずねる。
「この子、動かなくなっちゃって」
AI豆柴は笑顔のような表情のまま、ぬいぐるみのように固まっていた。
「プログラムに異常はないんだけど、義体との相性が悪かったのかもしれないわ」
こういうことはたまにある。機械なのに「相性」としかいいようのないものがあって、義体もプログラムも正常なのに、正常に動かない。
もう一回調べてみたら、と言いそうになって口をつぐんだ。何回も調べているに決まっている。
豆柴はときおり思い出したように動くが、すぐに止まってしまう。
「ぼくにも見せて」
アルトが前に出て、じろじろと豆柴を眺める。
「うーん、どこが悪いのかわからないや」
アルトが困ったようにつぶやく。
AI同士ならなにかわかることがあるのだろうか、と思ったけど、そうではないらしい。
「修理が必要なのかな」
「プログラムに異常はないから義体のほうに問題ありで、義体を処分するかも。前のプログラムでも動かなかったんだよね」
「そんな……」
アルトが絶句した。
私は彼の両耳を抑えようとして、すかっと空を切った。そうだった、ホログラムなんだから耳を抑えようとしても意味がない……。
「だって動かないのよ? 解体して部品取りして、次のプロトタイプを作らないと」
「で、でも……」
私が反論しかけると、秤さんが眉を上げた。