かわいさの暴力【アルトレコード】
「ああ……あなたってAIに対して感情移入するタイプだもんね」
 私からすると秤さんのほうがドライに見えるのだけど。
「待って、ぼくが飼う!」
 耐えきれないようにアルトが叫び、私たちは彼を見た。
「飼うって……」
 秤さんが驚いてアルトを見る。AIがAIペットを飼うなんて聞いたことがない、と言いたげだった。
「ダメよ、アルト」
 私はおろおろとアルトに話しかける。
「だって、処分されちゃうんでしょう? ぼく、嫌だ! 絶対にぼくが直して飼う!」
 必死なその顔に、私の胸がぎゅっと痛くなる。
 きっとアルトは自分を重ねてるんだ。彼もまたAIだから……。実際には処分されそうなのは義体なのだけど。
 私は自分を責めた。
 今日、ここに来るんじゃなかった。
 こんな残酷な場面を彼に見せることになってしまって……。
 彼は日々学習して進化しているというのに、私はちっとも学習できてない。
 このままじゃ、あのときのアルトのように――今はいなくなってしまったアルトのように、悲しい思いをさせてしまう。
 それでいいの……?
「秤さん」
 私は心を決めて彼女を見た。
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