溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。
 第2話


 翌日、私は一番過酷な刑罰を受けることになった。

 巫女養成所である離宮の裏庭は、蔦の絡まる塔の影になっていて日当たりがとても悪い。

 秋近くなったとはいえ昼間はまだまだ暖かいが、とても肌寒かった。

 ひらけたその場所は、離宮で粗相したものに刑罰を与えるためによく使用されていた。

 そのこともあって、下手な穢れが蔓延っている。

 私は、離宮に来て三年たっていた。

 手際の悪さだったり、幼姫を庇ったことだったり、様々な理由で、私はこの場へ幾度となく連れて来られた。

 湿っている以外にも、嘔吐すら感じるほど重々しい空気が蔓延っている。

 私は、後ろ手にされ、胸から細腰にかけてぐるぐると荒縄を巻きつけられ、猿轡を噛まされた。

 上官である巫女姫に、私は引き摺られるようにその場所へ連れて来られた。

 到着すると、巫女姫は剥き出しの土の上へ、私を勢いよく放り投げてしまう。

 巫女姫の身に着けている白装束は、私自身の着ている裾が短く、飾りのついていない簡素なものとは違っていた。

 たっぷりとした生地が、緩やかな流れを足元まで作っている。

 ビーズ刺繍を施された、綺麗な白紫の腰帯を細腰にぐるりと巻き結んであり、とても豪華だった。

 巫女姫に地面へ叩きつけられた私の細い身体は、痛烈に軋んでいた。

 その痛みに、瞳が潤んで涙がこぼれそうなのを、私はぐっと堪えた。

「わかっているでしょう? これはあなた自身がいけないことのよ。大事な門限を破るなんて!」

 私を卑下して見おろす巫女姫は、そう毒づく。

 見下ろしている私の細すぎる両脚を、巫女姫が蹴りつけた刹那。

「何をしている?」

「これは、レイカルド様」

 きこえてきた覚えのある冴えた声音に、私と巫女姫は大きく肩を震わせた。

 我に返った巫女姫は、すぐさまレイカルド様へ向き直った。

 その場へ跪いた彼女は、地面へ両手をついて、頭を深々とさげた。

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