溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。
 第3話


「僕は、ここで一体何をしているのかと、きいておるが?」

「……」

 拘束され、地面へ転がされている私は、身動きが取れなかった。

 そのままかたまったまま、私はすぐ近くまでやってくる、レイカルド様とハレット様の汚れ一つない上質な革靴を見ている。

「この件に関しては、レイカルド様の感知なさることではありませぬ」

「そなたの意見をきくつもりはない。僕はこの状況の理由をききたいだけだ」

「で、では、理由なのですが、粗相した姫君に、罰を与えているまでです」

「罰、か」

「さようでございます。この場所は、それゆえに空気がとても悪いのです。レイカルド様、ハレット様、どうぞお引取りくださいませ」

 巫女姫は、その頭をあげることはないが、少し震えた声音ながらも、至極丁寧に言葉を紡いでいた。

「ハレット、ルアンの縄を解け」

「御意に」

 レイカルド様の命令で、ハレット様はすぐさま動き、私へと駆け寄った。

「で、ですから、ルアンは、レイカルド様がお相手なさるような、大国の姫君ではないのです!」

 その様子に慌てた巫女姫は、思わず頭をあげる。

「顔をあげていいと、僕は許した覚えはないけど?」

「も、申し訳ありません!」

 冷厳としたレイカルド様の物言いに、巫女姫が深々と頭をさげる。

 そんな中、私の猿轡を取ったハレット様が、腰にさげている短剣を抜く。

 細すぎる身体に巻きついている荒縄を、彼は手早く解いた。
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