執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


 だが、一抹の不安があったのも事実。やはり、いつも通りの服装にしておけばよかった。
 この格好をした雫を見て、幹太は好ましくないと思ったのだろう。だからこそ、ジャケットを羽織らせたのだ。

 楽しみにしていたデートだ。こんなことで台無しにしたくはない。
 すぐそこにはデパートがある。何か服を買って着替えるのも手だ。

 幹太にデパートに行きたいと切り出そうとしたのだが、その言葉は彼がキツく抱きしめてきたために驚いて言い出せなかった。
 最初こそ目を瞬かせるだけしかできなかったが、すぐに我に返り声をかける。

「えっと、幹太くん? ここ、デパート前だよ」

 駅の構外だが、改札からはほど近い。それにデパートへ来店する客もたくさん通る。
 そんな往来がある場所で、急に抱きしめられて恥ずかしい。

 どうして彼は急に抱きしめてきたのか。その理由がわからずにいると、幹太はハァと悩ましげなため息を吐き出した。

「頼むよ、雫。そんなかわいい格好しないで」
「え?」
「他の男がチラチラ見ているのに気がつかない?」
「えっと?」
「雫がめちゃくちゃかわいいからだよ」
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