執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
最初こそ驚きの声を上げた真太だったが、なぜだか遠い目をし始めた。
自分に言い聞かせるように、彼は達観した表情になる。
「そうだよね。こういう大事なことは自分の口で兄ちゃんに言いたいよね……」
どこか悲しみを噛みしめるような、それでいて嬉しそうな。なんとも複雑な様子の真太に、雫は再度お願いをする。
「えっと、そういうことじゃなくてね」
どう言えば彼は納得してくれるだろうか。しどろもどろになっていると、真太の表情がだんだんと険しくなっていく。
どうやら雫の真意に気がついたようだ。顔を強ばらせている。
「もしかして、兄ちゃんに妊娠のことを言わないつもりなの……?」
真太の反応は当然だろう。だが、詳しくは言えない。
口を噤み続ける雫に痺れを切らしたのか。鋭い声で真太は雫に問いかける。
「どうして? 雫ちゃん。兄ちゃん、雫ちゃんが妊娠しているなんて聞いたら、大喜びするに決まっているよ。うちの父さんと母さんだって、絶対に喜びまくる」
「真太くん」
「誰も反対なんてしないよ? それは雫ちゃんだってわかっているでしょう? それなのにどうして!」