執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
小高いその丘は穴場的な場所で、いつも人はいない。
だからこそ、幹太と雫はここで二人きりの時間をよく楽しんでいた。
何度ここでキスをしただろう。何度、この場所で幹太が愛を囁いてくれただろう。
次から次に思い出が押し寄せてきて、その幸せな日々の記憶に触れて涙が出てきてしまいそうだ。
泣きそうになっているのをごまかすように視線を落としていると、急に幹太が雫の足下にしゃがみ込んで片膝をついた。
驚いて目を見開くと、雫を見上げている彼と視線が絡み合う。
戸惑う雫に、彼はどこか覚悟を決めた様子でゆっくりと唇を動かした。
「雫、愛している。一生をともに過ごしたいと思った人は、雫だけだ」
熱を帯びた彼の目から視線をそらせない。
呆然としたまま彼を見つめ続けていると、真剣味帯びた声で幹太は続けた。
「結婚してほしい」
先程まで聞こえていた波の音に代わり、雫自身の鼓動の音しか聞こえなくなる。
放心状態のまま立ち尽くしている雫の手の上に、彼は小さなビロードの箱を載せてきた。恐らく婚約指輪なのだろう。