執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
思わず息を呑む。確かにここ最近、雫にしつこく交際を迫っていた男性は現れていない。
だが、なぜそのことを幹太が知っているというのか。
唖然として彼を凝視していると、その視線に気がついたのだろう。彼は肩を竦める。
「その顔は驚いている様子だな。どうして幹太くんは、そのことを知っているの? って」
その通りだが、それを声に出して言えない。
口を噤んだままでいると、幹太は真顔になる。
「その男の素性を調査して、けん制をかけた……からだな」
あの男性が雫の前にピタリと現れなくなったのは、幹太が動いていたからなのか。
幹太ならそういう動きをするかもしれない。そんなふうに納得をしていると、背中に彼の手が触れる。
「とにかく、場所を移動しよう」
「幹太くん」
「雫の気持ち、ゆっくりと聞かせてほしい」
「で、でも……」
このまま別れるつもりでいた雫は抵抗を見せるものの、いつものようにうまく丸め込まれてしまう。
車の助手席に座らされ、気がついたときにはタワーマンションの前だった。
てっきり彼が住むマンションに連れ込まれてしまうのではないか。そんなふうに思っていた雫は面食らってしまう。