執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
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考え事をしている間に、エスカレーターは指定階へと辿り着いていたようだ。
扉が開くと、幹太は雫の手首をしっかりと握りしめてエレベーターを下りる。
雫も彼に手を引っ張られながらそれに続いた。
一つのドアの前に立つと、彼はスマホをセンサーに翳す。カチャッと鍵が開く音が聞こえ、彼はそのドアを開いた。
「ほら、おいで」
彼は掴んでいた雫の手を引き寄せてくる。雫が玄関内に入ったのを見てドアを閉めて施錠をした。
ガチャンと鍵が閉まる音がして身体がビクリと震える。幹太は雫の手首を掴んだまま部屋の中へと促してきた。
頭の中で警鐘が鳴り響きながらも、彼の優しい手に逆らえず……。
リビングへと入ると彼はようやく手を離してくれたが、そのまま促されて窓辺までやって来た。
レースのカーテンを開くと眼下には煌びやかな光の粒が見える。
ここに来るまでにマンション内を見ているが、とても真新しくセレブリティ感に満ちていた。
ここは誰の部屋なのか。彼はどうして雫をここに連れてきたのか。そろそろ理由を聞きたい。
身の置き場に困り果て視線を泳がせていると、幹太はゆっくりと雫に近づいてきた。
「幹太くん?」
声が震える。目の前にいるのは愛している男性だ。何も恐れることなどないはず。
こうして怯えてしまうのは、彼がいつもと様子が違うという理由だけではない。
雫自身、彼に対して後ろめたい気持ちを抱いているからだ。
それがわかっているからこそ、挙動不審になってしまうのだろう。
そのことを目の前にいる幹太は気がついている。
とにかく逃げたいと思っている雫を前にして、幹太は余裕な笑みを浮かべてきた。