執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 パニックになりかけている雫を見て、幹太は静かな口調で話しかけてきた。

「どうして知っているの? って顔をしているな」
「幹太くん」
「雫が妊娠していること、どうしてわかったと思う?」

 優しく諭してくる彼は、雫の背中に触れてヨシヨシと撫でてきた。
 その手つきは慈愛に溢れていて、興奮していた雫の気持ちが落ち着きを取り戻していく。

 冷静に考えられるようになり、思いついた可能性は一つだけだ。
 至近距離にある幹太の目を見て、震える唇を動かした。

「真太くん……?」

 まだ母にも伝えていないのに、妊娠のことを知っているのは産婦人科の先生やスタッフ、そして真太だけだ。
 思い当たる可能性をぶつけると、幹太は困ったように目元を下げる。

「そうだ。でも、怒らないでやってくれるか? アイツは俺からの尋問に耐えきれなくなって渋々と打ち明けたんだから」

 想像してみる。幹太が容赦なく問い詰めたとしたら、誰だって耐えきれなくなるだろう。
 それも真太は幹太の弟だ。かなりえげつなくジワリジワリと真太の逃げ道を塞いだに違いない。

 容易にそのときの情景がまざまざと浮かび、手を合わせたくなる。
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