執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


 いつだって幹太は雫のことを一番に考えてくれている。そのことを一番わかっていたのは雫自身だったのに、わかっていなかったのかもしれない。

 視界が涙で滲む中、幹太は雫に訴えかけてくる。

「俺と別れるのも許さないし、俺に内緒で去るのも許せない」

 身体がビクッと震えてしまう。彼の鋭い声からは、雫に対しての執着に似た愛を感じ取ったからだ。

「か、幹太……くん」

 声が震える。彼の真摯な気持ちがダイレクトに飛び込んできたからだ。
 思わず息を呑む。必死な様子の幹太を目の当たりにして、ドキッと一際大きく胸が高鳴った。

 絶対に逃がさない。そんな強い意志を滲ませながら、逃げるという選択肢を雫から奪い取ってくる。
 揺るぎない気持ちが彼の視線から伝わり言葉を紡げずにいると、彼は怒りや切なさを滲ませながら強い口調で言う。

「なにより許せないのは……、お前を一人で母親にすることだ」

 呆然としている雫に、彼は再び表情を戻して不敵な笑みを浮かべてきた。
 彼は雫の長い髪を一房摘まみ、腰を屈めて手にした髪にキスをする。そのときの彼の目には挑発的な色が滲んでいた。
< 128 / 158 >

この作品をシェア

pagetop