執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 話を聞いてほしいと訴えているのに、彼は部屋の中へと入っていく。そして、テーブルの上に置かれていた書類を手に取り、雫に手渡してきた。

「え? え……!?」

 大きな声を上げてしまった。慌てて口を手で押さえながら、必死にその書類に目を通す。

「なんで……」

 幹太が手渡してきた書類は、婚姻届だった。すでにほとんどの項目が記入済みで、あとは雫の署名だけという状態だ。
 婚姻届と幹太、交互に視線を送っていると、彼は呆れた様子を見せてくる。

「そんなに驚くことはないだろう? 俺が雫と結婚しようと動き出すことなんて昔からわかっていたはずだ」

 わかるはずがない。首を何度も横に振ると、幹太は不服そうに顔を歪める。

「俺、雫に付き合ってくださいって告白したときに言っただろう?」
「え?」
「結婚を前提で付き合ってくださいって」

 雫が高校生になったばかりの頃、幹太は告白をしてくれた。確かにそんなふうに言ってくれたことを今も覚えている。

「でも……、それって高校生のときで」

 言葉を濁すと、幹太は眉間に皺を寄せる。

「もしかして子どもの戯れ言だと片付けていたのか? 心外だな」
「だって!」
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