執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
息を吸い込んで覚悟を決めると、雫は幹太をまっすぐに見つめた。
「ダメ! ダメなの。別れないと幹太くんに迷惑がかかる……っ!」
涙ながらに大槻の件について訴えると、彼は目を見開いた。だが、すぐに柔らかな表情へと変わる。
「そんなことか。あぁ、悩んで損した。それは心配しなくていい」
彼は胸を撫で下ろす仕草をしたあと、カラッとした爽やかな笑みを唇に浮かべた。
「じゃあ、大槻の件が問題なければ、俺と結婚してくれるってことだよな?」
「あのね、そんなに簡単な問題じゃなくてね。私は幹太くんの力になれないし――」
必死に彼を説得するのだが、聞く耳を持ってくれない。
ほとほと困り果てていると、雫のスマホから着信音が聞こえてきた。どうやら母からのようだ。
どうぞ出て、そんなふうに幹太に促されて渋々と通話に出る。だが、内容は雫にとって突拍子もないことの連続だった。
「結納って……。何を言っているの?」
『何って、幹太くんと結婚するんでしょう? 数日前、幹太くんが挨拶に来てくれたわよ。私、雫から何も聞いていなかったから驚いちゃったわよ。そういう大事なことはちゃんと言ってよね!』