執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
なぜだか母に怒られてしまった。だが、すぐに我に返って母に結婚なんて決まっていないと伝えたが、母は取り合ってもくれない。
浮かれまくっている。そう表現にするのが正しいほど声が弾んでいた。
『真綾さんとも相談しているんだけど、こういうめでたいことは早めがいいでしょう? 仕事のシフトが決まり次第教えてね』
それだけ言うと、一方的に通話は切れてしまった。
母には大槻が雫に接触してきたことを伝えていない。心配をかけることがわかっていたからだ。
だが、大槻が幹太に金の無心をしようとしていることを伝えれば、さすがにこの結婚は止めた方がいいとわかるはず。
母の説得はそれでうまくいくだろう。だが、問題は永江家の方だ。向こうの家は完全に息子(幹太)の話を鵜呑みにしているはずだ。
母の話を聞く限り、どうやら永江家でも二人の結婚は決定したと思っている様子だ。
――これは完全に外堀を埋められつつある……!?
それだけではない。雫も彼の巧みな包囲網にまんまと囲い込まれている気がしてならない。
目の前に立ち塞がっている幹太を見て途方に暮れていると、彼は相変わらず完璧な笑みを浮かべていた。