執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
どうしたのかと問いかけると、館長は複雑な表情で何枚かの紙を差し出してくる。
その紙には雫に対しての誹謗中傷が書かれていた。聞けば、この紙は時間外返却ポストに入れ込まれていたという。
「以前から、井熊さんが危惧していた人物からかもしれない。こんな悪質ないたずらをする人物が誰なのかわかるまではバックヤードにいた方がいいだろう。井熊さんの身が危ない」
ショックを受けている雫を見て、館長は優しく労ってくれた。
「大丈夫、まずは落ち着いて。警察や警備員にも見回り強化をお願いしてあるし、スタッフ皆が井熊さんの味方だよ」
周りのスタッフ皆が頷いてくれた。心温かい同僚に恵まれて、幸せを噛みしめる。
何枚にも渡って書かれてある雫に対しての中傷文。『あの男と早く別れろ』そう書かれた紙を見て、悪質なことをする人物が思い当たる。恐らく大槻だろう。
幹太と別れると思っていたのに、今もまだ雫は彼の傍にいる。それでは慰謝料をもらえないと憤っているのか。