執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
顔を青ざめた真亜子に対し、佐合は冷たい目を向ける。
「もう私からの庇護は受けられないと思いなさい」
佐合は再び頭を下げたあと、愕然としている真亜子を引き連れて出て行った。
彼らを見送ると、身体から力が抜けていくのがわかる。座卓に突っ伏す雫の背中を撫でながら、幹太は労ってくれた。
「よく頑張ったな、雫」
「うん、ありがとう。幹太くん」
ポツリと呟いたあとは、なんだか泣けてきてしまった。
安堵したのだろうか。いや、もっと違う感情かもしれない。
母を捨てた父のことをずっと恨んでいた。だが、心のどこかで父は仕方がなく母と別れたのではないか。本当は後悔しているのではないか。そんなふうに考えていた。
だが、それは雫の勝手な願望だったのだと突きつけられたことに苦い想いが込み上げてきたのだろう。
最後の最後まで大槻は父親らしい姿を見せてくれなかった。そのことに失望しているのかもしれない。
次から次に涙が零れ落ちていく。そんな雫を幹太は抱きしめてくれる。
――温かい……。
彼の体温を感じて、心が落ち着いていくのがわかった。
どんなときでも幹太は雫の傍にいてくれる。その幸せを改めて噛みしめ、彼の背中に腕を回す。
彼は雫の背中を撫でながら、何も言わずに傍にいてくれる。それがどうしようもなく嬉しかった。
私を愛してくれてありがとう。ずっと傍にいてくれてありがとう。
何度も彼に囁きながら、静かに涙を流し続けた。