執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
「幹太くん!」
慌てて横にいる彼に視線を向けると、フッと口元を緩ませて魅惑的な笑みを浮かべていた。
――本当にズルイ。ズルイよ、幹太くん。
雫のことを質が悪いと幹太は言うが、こちらから言わせてもらえば幹太の方が何倍も質が悪い。
頬に熱が集まってくるのを感じていると、彼は柔らかな視線で雫を見つめてくる。
蕩けてしまいそうなほど甘い視線に、雫はどうしたらいいのかわからなくなってしまう。
昔から同じような視線を感じてはいるが、年々その度合いは増しているように感じる。
「ほら、行こう。映画始まる前にパンフレットを買いたいし」
「うん。あ、ポップコーンはどうする?」
「塩味にするか? いや、キャラメル味も捨てがたい」
真剣に悩む幹太を見て、雫は知らず知らずのうちに笑顔になる。
こういった時間を二人で共有するのが大好きだ。
カウンターの前で二人でひとしきり悩んだあと、塩味に決めてドリンクとともに購入する。
幹太は雫が注文したオレンジジュースを不思議そうに見つめてきた。
「珍しいね。コーヒーじゃなくていいの?」
「うん。たまにはオレンジジュースもいいかなと思って」