執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
幹太に出会った当時のことは、あまりに幼すぎて覚えていないことが多い。
だけれど記憶にしっかりと残っているのは、彼がその小さな背中で真綾を守っていたことだ。
そんな彼のことを「格好いいな」と、尊敬の眼差しで見つめていたことを覚えている。
彼もまた、雫と同じで自分を一人で守ってくれていた母親を大事にしたいと思っていたのだろう。それは今も同じ気持ちなはずだ。
アームレストに添えられていた彼の手に、雫は自身の手を重ねた。すると、彼はすかさず指を絡ませて雫の手を握りしめてくる。
幹太は雫の方に向き直り、頬を緩ませてほほ笑んだ。
「俺の母さんも、雫の母さんも。大事にしなくちゃな」
「うん」
深く頷くと、幹太は雫の手を掴んだまま立ち上がる。
「行こう、雫」
そう言って雫を見下ろす彼の視線は温かい。彼は本当に優しさの塊のような人だ。
彼は自分の母親と同じ境遇だった、雫の母のことも案じてくれている。
事あるごとに気をかけてくれ、雫の家族ごと愛してくれていることを実感していた。
だけれど、少しだけ不安を抱いてもいる。