執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


 すると、そこには雫の幼なじみであり親友の晶子が手をヒラヒラと振って立っていた。

 カツカツとヒールの音を立てながら雫の下へとやって来ると、綺麗に彩られた唇の口角をクイッと上げる。

「どうしたの? 雫。なんか顔が赤いけど?」
「そ、そんなことないよ?」

 まさかベッドの上の幹太を思い出していたなんて言えるはずがない。

 咄嗟に隠したが、晶子は「ふーん」とニマニマと笑って視線を向けてくる。全く居たたまれない。
 ごまかすように雫は晶子にテラス席側にある本棚を指差す。

「最新刊は、まだ入ってきていません。天雨翠の既刊本は、あちらの本棚にありますよ」

 素知らぬふりでそう言うと、晶子はニッと笑う。

「そうですか。貴女は読まれましたか? 私は天雨先生ご本人からサイン付きの最新刊を頂いて、拝読済みです。サイン本、レアなんですよ? いいでしょう!」
「……晶子ちゃんが書いてって言うから」

 唇を尖らせて呟くと、晶子は嬉しそうに頬を緩ませた。

「だって雫の一番のファンは、絶対に私なんだから。一番のファンは大事にしてよね」
「もう!」
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