執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
「そろそろ現場に戻らなくちゃ。雫と会えてよかった!」
「こちらこそ、プリンごちそうさま。お仕事頑張ってね」
「うん! ありがとう。雫も仕事頑張ってね」
手を振って晶子と別れると、雫は再び館内へと戻って午後からの仕事に励んだ。
いつも通りの仕事をすべて終え、雫は寄り道をせずにまっすぐ実家へと向かう。
「ただいま」
玄関ドアを開け、中にいるであろう母に声をかける。
いつもなら「おかえり」という声で雫を迎えてくれるのだが、その声が聞こえてこない。
どうしたのかと思っていると、リビングの方から母の鋭い声が聞こえてきた。
母はいつも穏やかで怒鳴るような人ではない。だからこそ、らしくない声を聞いて心配になる。
パンプスを揃える間も惜しくて、慌てて玄関を上がった。
逸る気持ちを抱きながら、リビングの扉を開く。すると、そこには厳しい表情の母がいた。どうやら電話中のようだ。
「もう二度と電話をかけてこないで!」
母はそう言うと、電話を切ってしまった。
少しの間、疲れ切った様子で呆然としていた母だったが、雫の姿を見て我に返ったのだろう。